「鍵をかける」と言いますが、閉じているのは錠(錠前)で、 鍵はそれを開けるための金属片です。 辞書でも「鍵」に錠そのものを指す意味が載っているほど、二つは混ぜて呼ばれてきました。 このページでは、二つを分けて書きます。

手持ちの南京錠と鍵、番号入りのプラスチック封印
南京錠か、内蔵錠か
貞操帯の錠は、大きく二通りに分かれます。ひとつは南京錠で、本体の金具に通して閉じます。 もうひとつは内蔵錠で、本体に錠前が埋め込まれ、外に掛け金が出ません。
貞操帯では南京錠をよく見かけますが、カララ(Carrara Designs)の上位モデルは内蔵錠で、 近ごろの中国製の3Dプリント品にも内蔵錠が多く見られます。貞操具も、かつては小さな南京錠が主流でしたが、 いまは内蔵錠のものが増えています。
南京錠の利点は、錠前を簡単に替えられることです。管理する人が変わるとき、たとえば自己管理をやめて キーホルダーを決め、管理を始めるときに、管理する側から新しい錠を送る、という儀式にも使いやすいです。 その錠に管理者の名前でも彫ってあれば、管理される側にとっては何よりの贈り物になるでしょう。
ただし、メーカーによっては市販の南京錠をそのまま使わず、本体に合わせて手を加えていることがあります。 錠と本体の隙間を埋めるスペーサーを入れたもの、本体に噛ませるピンを仕込んだもの(NeoSteel)、 本体との干渉を避けるために錠の一部を切り欠いたもの(MySteel)などです。 手持ちの錠に替えるときは注意が要ります。自分で加工する自信がなければ、そのメーカーから追加で買うのがよいでしょう。
内蔵錠の利点は、すっきりして引っかかりがないことです。服の上から形が出にくく、 こじ開けるための手掛かりも少なくなります。
貞操具には、錠の代わりに特殊な形のねじ(いじり止めねじ)で留めるものもいくつか見られます。 ただ、それを回すドライバーは毎回同じ形のものが全員に渡っています。一人が持っていれば誰でも開けられるので、 セキュリティとしては一段落ちます。使うなら、後で触れる番号入りの封印と組み合わせたほうがよいでしょう。
結局、大事なのは内蔵か南京錠かではありません。
錠の強さとは
錠の強さは、ひとつの物差しでは測れません。少なくとも次のような面があります。
- 壊されにくさ——切断、ねじ切り、叩き壊しにどこまで耐えるか。南京錠なら、まず狙われるのはつるです。
- ピッキングへの強さ——鍵を使わずに、内部の部品を一つずつ探って開けられないか。
- 合鍵の作りにくさ——鍵の形が単純なほど、型を取られたり、番号から取り寄せられたりしやすくなります。
- シムへの強さ——薄い金属板を掛け金の隙間に差し込み、内部を触らずに外す手口。安い南京錠ほど弱くなります。
- 錆と水への強さ——着けたまま入浴や汗にさらされる以上、錆びて開かなくなる錠は、それだけで危険です。
壊されにくさについては、メーカー側で対策している例もあります。NeoSteel では、南京錠のつるを工具で挟めないよう、 専用の破壊防止ブロックで覆っています。
鍵の種類と、中のピン
一般的な錠は、内部に並んだピン(またはそれに類する部品)を、鍵の山がそれぞれ正しい高さに揃えたときだけ回ります。 ピンが多く、形が複雑なほど、正しい組み合わせを探り当てるのは難しくなります。
簡易な貞操具に付いてくるような小さな錠前は、実はピン3本ほどで押さえているだけのものが多いです。 慣れた人なら、ヘアピン程度の道具で短い時間に開けてしまいます。ディスクタンブラー錠や、円筒形のチューブラー錠は、 その点で手間がかかります。
鍵を預ける・封じる
結局のところ、チタンであろうと何であろうと、壊す気になれば錠も貞操帯も壊せます。壊せない部分はありません。 問題は、不正な手段で開けたあと、管理者に分からないように元へ戻せてしまうことにあります。
ですから対策としては、「開けられないようにする」よりも「開けたら分かるようにする」方向で考えたほうがよいでしょう。たとえば次のようなやり方があります。
- 錠に印を刻む——南京錠に、リューターで管理者だけが知る文字や模様を彫っておきます。同じ型の錠を買ってきて、すり替えることができなくなります。
- 鍵番号を削る——市販の南京錠は、刻印された鍵番号を伝えるだけで合鍵を買えることがあります。使う前に番号を削り取り、管理される側の目に触れないようにしておきます。
- 番号入りのプラスチック錠を使う——壊されることを初めから前提にするなら、通し番号が入った使い捨てのプラスチック錠を掛けます。壊せば番号が変わるので、必ず分かります。簡単にピッキングできる金属の錠を使うより、はるかにセキュリティは高くなります。
開けられるか、開けられないかではありません。管理者を欺けないようにすること。それが錠選びの要です。